おかげ様で開業30年を迎え、これまで多くの患者さんに当院の歯周病治療を御評価いただいております。
どこの医院でも「抜歯・総入歯」と烙印を押された患者さんも、かなりの率で歯牙の保存に成功しています。
ガンなどの難病で、何処の病院へ行っても治らず、最後に駆け込む病院を「ラストリゾート」と呼ぶそうです。当医院も現代病(歯周病)の「ラストリゾート」でありたいと思っています。
歯周病の治療方法
1.歯牙の治療(初期の方 1の治療のみ)
一般的には、歯石の除去(スケーリングと申します)
そして、根の表面の滑沢化(ルートプレーニング)を行います。主に超音波で同時に行います。
(予防処置で済むステージ)
2.歯肉の治療(中期の方 1&2の両方の治療)
基本は、ブラッシングです。
・ペリオクリン(黄色のチューブの薬)の歯周ポケット内への注入。
・高周波通電による歯周ポケットの殺菌と引き締め。
・CO2レーザーによる歯肉の引き締め、蒸散。
(レーザー・高周波・薬)が必要なステージ
3.骨(歯槽骨)の治療(末期の方1~3の治療全て)
主に歯と歯をかぶせて固定する。(歯の揺れを止める)
・力学的に力の分散を図り、骨の再生・増生を図ります。
(固定療法が必要な末期のステージ)
"歯周病完治への道"解説
歯周病とは...歯を支えている周囲の骨が溶けてしまう病気です。
全く痛みを伴わないため、"サイレントキラー"と言われています。
本来歯ぐき(歯肉)は、歯を支える骨の上に2mm乗っています。
歯ぐきが下がっていないからといって油断してはいけません。
気が付かないうちに歯を支えている骨が溶け出している事もあるのです。
ステージごとに詳しく解説します。
●初期の状態
歯ぐきの炎症が主です。軽くブヨブヨしている状態です。(本人もあまり気にしていません)
・最初は歯ぐきがむず痒い
・少し骨が下がり始めるとアリが這っているような感じがする(蟻走感)
・むず痒い為、指で押すと気持ちが良い気がする
初期の治療
歯に付いた歯石やプラークを取り除きます。スケーリング・ルート・プレーニングといいます。
塗り麻酔を使用し、超音波スケーラーで取り除きますので、それ程痛みはありません。ご安心ください。
●中期の状態
それを過ぎると歯を支える骨の周囲が緩んできます。
歯の周囲のポケットが深くなります。この頃から口臭や歯肉を押すと膿が出始めます。
・歯が浮いた感じ
・歯に力が入らない感じ
・強く噛みしめられない
中期の治療
レーザーメンテナンス + 高周波通電
この頃から通常の歯石除去やプラーク除去(スケーリング)だけでは間に合いません。
"ブラッシングで良くなる"とも言いますが、私は決してそうは思いません。
触ってもブヨブヨして痛い所を歯ブラシでゴシゴシ磨ける人はあまりいません。
中には頑張りやさんが痛みをこらえてゴシゴシ磨きますが、かえって炎症を起こして腫れてしまいます。
中期に有効なのがCO2レーザーで歯ぐきの引き締め、高周波通電で歯周ポケットの殺菌と活性化です。
"自分の体にここが悪いんだ、早く治せ"と刺激を与える事で治りを早くします。それが活性化です。
(参考)医者のさじ加減
これは昔、漢方医が患者の病状に合わせて薬の量を薬さじで加減した事から言われていますが、レーザーのかけ方も全く同じで、加減が大切です。
当医院では導入して10年以上も経ちますので、そのさじ加減は心得ているつもりです。
当医院独自のメニュー(モード)で何種類もセッティングしてありますのでどの病状の人にも有効です。
●末期の状態
末期の初期
1/3程度、歯を支えている骨が下がった状態
→治療
レーザー・高周波通電・半導体レーザーで歯周ポケットの焼却を行います。
末期の中期
1/2程度、歯を支えている骨が下がった状態
シーメンス社のぺリオテスターも悪い数値を示し、本人もユレを感じます。
繊維性の食べ物が噛み切れなくなるのがこの頃です。焼き芋が噛み切れません!
ほかほかの焼き芋に噛みつき、本人は噛み切ったつもりでも、繊維だけニューっと出てきてしまいます。
つまり、繊維が噛み切れない状態が起きています。
末期の末期
歯を支えている骨がついに1/3程度になってしまった状態
一刻も早く歯周固定療法を行わないと手遅れになります。
歯を支える骨が1/3を過ぎて根の先まで溶けないように早めに治療を受けてください。
→治療
歯と歯を被せてつなげる事で、食事や夜中の噛み締めで歯が揺れない環境をつくります。
当医院の歯周病治療は9割方切開オペをしないで歯の延命効果が得られます。
大切なのは最後の1/3の骨をこれ以上放置して溶かさない事です。
こうなると切開オペをしても予後が悪く、保存不可能になってきます。(抜歯へと向かいます)
当医院に通われている患者さんは意識レベルが高く、"ダメなら抜いて部分入れ歯"という図式は好まれません。患者さんの大半が、年齢に関係なく自分の歯でしっかり噛みたい!と願っていらっしゃるのです。